神楽太夫 【かぐらたゆう】 神楽を舞う舞手(まいて)を太夫(たゆう)という。備中(びっちゅう)神楽では芸能的な舞をする者を総称して神楽太夫(かぐらだゆう)と呼んでいる。 もともと太夫とは、能役者の有資格者、または家元のことである。似たような呼び方をするものに神社に仕える神官(神職)があり、備中地方では「太夫さん」と言うが、それと区別して「神楽太夫」と呼ぶのである。 昔、備中地方では、農業に従事している者が六、七人の神楽社を組んで、農閑期に各地の祭典に招かれて芸能的な舞をしていた。娯楽の少なかった田舎のことゆえ、備中神楽は大衆娯楽としての芸能性が強い。いわば神楽太夫は神楽舞の専門家として自他ともに認められている集団で、今もその伝統を受け継いでいる神楽社がいくつかある。社によって上手下手もある。